2017年3月12日日曜日

仲代達矢 讃、讃、讃!!

「海辺のリア」のプレス等にて、書いたステイトメントを、ここに転載します。







仲代達矢 讃、讃、讃!!





朗読劇「死の舞踏」の稽古中だったと思う。ボブ・ディランの歌に「オン・ザ・ロード・アゲイン」というのがある。同じタイトルを冠したロードムービーのシナリオを仲代さんに渡した。コピー台本である。
数日後、無名塾のSさんに仲代さんの感触を訊いた。
「認知症の話なんだよなあ」と仲代さんが仰っていたとのこと。そのニュアンスは、照れ臭さと困惑が一体となったものだった。(認知症の役は、凄く難しいと後に仲代さんは、言っていた)そんな仲代さんの背中を押したのは、Sさんだった。「こういう病気を抱えている家族は沢山いる。共感を得ると思う! 演ってみたらどうですか?」
と。
『海辺のリア』はこうして船出した。
仲代さんとの三度目の作品。
仲代達矢と言う稀有の役者を丸裸にしてみたいという思いもあった。それが無謀な試みであることも判っていた。それでも、今ボクの出来ることは、このシナリオを現実化する以外にはないと確信した。数十回の改訂の末、『海辺のリア』と改題し、印刷台本とした。仲代さんに連絡し、正式に出演の了解をとった。後は、資金集めだ。幸い、日本映画放送の宮川さん、そして、社長の杉田さんがのってくれた。
無謀な試みに、無謀にも賛同してくれる人たちが集まり、『海辺のリア』は撮影に突入した。
今の日本映画がどういう状況にあるか、知らぬ存ぜぬを貫き通していたボクは、それでも、この映画の完成時、恐怖におののいていた。今の日本映画とは、全く違ったアプローチだったからだ。しかし、その恐怖心は、ボクの妄想だと知った。初号を観た、仲代さんのお弟子さんらが号泣しているではないか! 仲代さんの満面の笑みも見えたようだった。
雑念を全て取り払い、ひとりの人に贈る映画を初めて作った。仲代さんに向けて集中した。その結果が報われるものだったことに、ボクはひとりほっと胸を撫で下ろしたのだ。

御年84歳の仲代さんが、全身全霊を賭けて演じる桑畑兆吉に、心を打たれない人は、いないだろう。
それは、迫真を通り越した、圧倒的な熱量に溢れている。こんな演技が出来る人を、見たことがない。
それでもボクは、撮影現場での打ち上げで、こんなことを言った。
「これで終わりじゃ、シャレにならないですからね! 次を撮りましょう!」
と。
そうなのだ。次を撮らなければならないのだ。この映画は、仲代さんの新境地かも知れない。しかし、到達点では決してない。あくまで、通過点なのだ!
毀誉褒貶覚悟の上での、確信犯でいよう。そうボクは、自分に念じている。
誰かの言葉ではないが、常に、「代表作は次回作!」なのだ。
仲代さんにとって、今は、その通過点を突破したに過ぎないと、ボクは思っている。



2017年2月15日

小林 政広


2017年の事、そして、18年に向けて、

一昨年に撮影、完成した「海辺のリア」の公開が、6月となり、(これは、完成する前から決まっていたのですが)それまでは、新作のことも考えずに、ただ漫然と公開を待つ日々を送っていました。 映画が完成してしまい、初号試写が終わってしまうと、奇妙な空気が漂い始めます。 何かを始めように...