2010年11月25日木曜日

少し早い夕飯 2006/08/13

「ごはんですよ」と、母の声

ボクは、二階の座敷の陽だまりの中



階段を降りて、茶の間に入ると、

「てんぷくトリオ」がみんなを笑わせていた



少し早い、夕飯だった。だって、まだ、

祖母の部屋には、西日が差している



母が、炊き立てのご飯を、お櫃に移して

それからボクのお茶碗に盛った。



父が、算盤塾から、渡り廊下を渡って、やってきた

祖母と遊んでいた弟が、チャブ台に向った



チャブ台の上には、鯵の干物

それに、野菜の煮たのと、江戸むらさき



ボクは、箸をくわえて

どれからたべようかと、考えた

考えても考えても答えは出ない



父は、そんなボクを

見てたのか見てなかったのか

「ほら、あれ出せよ」と、母に言った



それは、好物のコンビーフ

上野のアメ横で買ったもの

横文字だらけの缶入りコンビーフ



「待ってました!」とばかりにボクは、缶ごと、

ボクは、缶ごとコンビーフに噛り付いた



父は、怒って、ボクから、コンビーフを取り上げた

「これは、もの凄く高いんだ!」そう言って、取り上げた



それでもボクは口の中に溜まったコンビーフを、

少しづつ、食べて行き、

それから、江戸むらさきで、ご飯を食べた



その日、ボクと弟は父と、銭湯に行った

そして、帰って、二段ベッドで眠った



目が覚めたのは下からの声

父と母と祖母の笑い声



そっと、ボクは、下に降りて行く

階段に漂う、酢の匂い



父が、母のために、寿司の出前をとったのだ

ボクは、こっそり、障子戸を開いた。



父と母と祖母がボクを見て、笑った

「やっぱり起きてきやがったな」そう言って、笑った



それから、四人でお寿司を食べた

テレビでは、巨泉の、11pm



それから、四人でお寿司を食べた

弟は、ひとり二階で夢の中

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